コミュニケーションの人、石川ひとみ

 石川ひとみを語る上で、取り上げておきたいのは彼女の優れたコミュニケーション能力です。

 母親から言われた「アイコンタクト」を心がけ、会話の反応がともかく早い、心の動きが顔にリアルタイムで反映する豊かな表情。そして、巧まざるボデイランゲージ。

 歌手石川ひとみの歌唱の特徴は「過剰な思い入れを排したサラリ系」だということでしょうか。

 色でいえばパステル調。演歌的な歌い方はしない。

 『秘密の森』で脱力系に変身して、今日までごく自然体の歌い方になっていますが、それがひとみさんの感受性の特質からくるようです。
 

 石川ひとみちゃんは、夫婦仲の良いご両親そして、兄と仲も良く、周囲の愛情いっぱいに育って、愛される経験値が非常に高く、悲しい、寂しい、悔しいといったマイナス感情を募らせるような経験があまりなかったのではないでしょうか。

 人見知りするタイプだとご自身で言っておられますが、生来の豊かな感受性から、家庭の温かさと世間の対人関係とのギャップを感じていたのかもしれません。

 両親の愛情と励ましを受けて育った子は、自分に対して肯定的なイメージ(セルフイメージ)を持っていますので、自分の感情をストレートに表に出しますし、若々しい自信を漂わせています。

 えてして、家庭がそうでない女の子は、セルフイメージが見かけ以上に低く、自分を好きでなく、自分の気持ちを抑えるものです。

 そのような人は、どうしても自分の心をガードするために、心の殻を作ってしまい、そのワンクッションを介して外界のものを受け入れたり拒否したり、喜怒哀楽を相手に合わせたりその場に合わせてしまいます。

 ひとみちゃんは自分の気持ちが表情にすぐに出ますし、相手へのリアクションが早いですね。基本的には、内面に向かう人ではなく、外に向かう人なので、コミュニケーション能力が高く、相手と共感するタイプだと思います。

 このタモリ、黒柳徹子とのおしゃべりに、その特質がよく現れています。



 タモリが「なんだぁ?」といった瞬間に、ひとみちゃんは「あっ」と反応を返しています。

 「愛知かぁ」という冷やかしに、「えっ、どうして?」と、会話の反応がとにかく素早いですね。

 その前に、「その時に酒覚えたの?」という突っ込みには、タモリの方を向いて「あーん!」と言って、大人のタモリを叱るそぶりを見せる。これは、自分を好きで自信のあるひとの態度です。


 次の映像では、ひとみちゃんのボデイランゲージの特徴が現れています。


body_language01.jpg

 西川峰子がひとみちゃんのアイドルっぽい雰囲気に合わせて、わざとブリッコ風に「23です」と言うと、すかさずひとみちゃんが反応して、峰子の腕に手を回して身体をぐっと寄せて、目を見る。

 この接近距離は、仲の良い友達同士ならよくありそうですが、西川峰子は1974年(16歳)に発売した『あなたにあげる』で大ヒットをした芸能界の先輩ですから、普通はやらない、と言うかできませんね。

 たとえば、

 南沙織だとしたら、その場でくすっと笑うでしょうか。

 岩崎宏美ならば、わはは、と笑い飛ばすかもしれない。

 太田裕美なら、口に手を当てて目を丸くして、西川を見るかもしれない。

      (西川峰子の代役やりたいです ヾ(^▽^;)ゞ )


 ひとみちゃんはここで、「私、ブリッコやっていませんよー」と、抗議しているわけですね。

 言葉でいえば気まずい思いをしたりしますが、このボデイランゲージで西川峰子が後ずさりして、「悪かった、冷やかして悪かった」というポーズになり、後で峰子の方からひとみちゃんの肩を抱いて仲直りの態勢となる。

 この接近距離が、ひとみちゃんのコミュニケーションの特徴ですね。自分を肯定していて、好きで、若々しい自信が表れています。


 会話に見られる反応の素早さ、豊かな表情、巧まざるボデイランゲージ...他者とのコミュニケーション能力がたいへん高いことが如実に表れています。

 そのような方ですから、おしゃべりが好きでしょうし、あまり内向きに深く考えることはないタイプなのかと思います。考える前に鋭く反応する豊かな感受性とコミュニケーション能力があるのでしょうね。


 歌手、石川ひとみは、内向きであるよりも、現実に目の前にいる人とのコミュニケーションに優れた能力を持っていて、言葉の行き違いや齟齬で悲しい思い・悔しい思い・怒りに震える思いというマイナス感情は十分に育む経験はあまりなかったのではないかな。


 そのようなマイナス感情の方が、歌手や役者としての根性だとか、強烈な上昇志向だとかの原動力になるものです。そのような要素が、ひとみちゃんの場合は希薄であり、天然系のキャラが似合っていたのです。

 ですから、タレントとしては超一流の素材で潜在的なポテンシャルは非常に高かったのですが、個性という点で見ると「白地のキャンバス」のような状態にあったと言えるでしょう。

 声の色は、「限りなく透明に近いブルー」

 性格的には「白地のキャンバス」

 ビジュアル的には「花の妖精」

 パワー特性は「レッドゾーンまで吹き上がるピーキー(peaky)なエンジン」


 このような感じですから、プロデュースの仕方によって、大きく変身してしまうのだと思います。

 また、感受性が強いために、外からの刺激に対して、喜怒哀楽の感情が人よりも大きく揺さぶられると思います。音楽を聴いたり、歌ったりすると、歌詞やメロディー、リズムに感情が人一倍揺さぶられる。

 一五一会のコンサートで、日本の歌を歌っている時に歌いながら感極まって嗚咽した時に、

「私って、そういう人なのよ」と本音をポロリと言ったそうです。

 このような情景はYouTube でもいくつか見られますが、そのような感受性だから情感をたっぷり込めた演歌的な歌い方は好まないとか。

 悲しい歌でも、サラリと歌い流している方が自分の心に響く、と言っています。だから、哀しくつらい歌でも、歌手石川ひとみは過剰な思い入れをせずに、あえてサラリ系で歌うのだとか。


 まあ、この話は紆余曲折の20年を経た後の話ですが、すでに1981年の『まちぶせ』はそれを意識して歌ったそうですから、うーんとうなるしかないですね。


 そのような意味で、石川ひとみが本当に素直に感情移入ができて、かつ他の歌手との個性の違いを見せることができた曲は『まちぶせ』が初めてだった。歌手石川ひとみの本領が明確になった記念碑的曲だったということになります。

 石川ひとみの優れたコミュニケーション能力ですが、これを生かせるのは司会者かなと思います。

 私は、司会の石川ひとみを見るために「レッツゴーヤング」を毎週心待ちにしていました。「さあ、行くわよ。みんな頑張って!」というのが、ギャグっぽくて好きでした。


 ただ、司会者の場合当時は男性がメインで、女性はアシスタントという扱いでしたから、ひとみちゃんの能力が十分に生かせたとは言えません。

 また、司会をやっていると、どうしても歌手としてのイメージが崩れてしまうので、功罪両方があります。5年間もやったことが果たして良かったのかどうか...。石野真子も、松田聖子も短期間だけでしたから。

 進行を務める立場上、どうしてもヤング歌手たちのお姉さん役になってしまいますので、アイドルイメージは色あせてしまいます。


15itie32.jpg

 最後に、歌手生活30周年を迎えた石川ひとみさんが、

 いまでもこんなに可愛い表情を見せてくれることに、

 深い愛と感謝と尊敬を表して、画像を貼り付けておきます。


    できるならー

   こころの片隅に 少女の 気持ち忘れずに

   ボクは それだけを願うー

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