以前からチェックしてみたいと思っていました、石川ひとみちゃんの言葉の感覚などを取り上げて、ひとみワールドを散策してみましょうか。

女性歌手というのは恋の歌を歌うことが多いので、精神的に恋愛体質になっていると以前述べたことがありますが、その結果として誰もがいわゆる「耳年増」(みみとしま)になっていきますね。
恋愛歌の世界に感情移入して歌い続けて、想像世界の恋愛体験を重ねている女性ということです。
ですから、女性歌手が歌詞を書くと、赤裸々な感情をストレートに言葉にしてしまい、アイドルファンなどは思わずのけぞってしまうことがあります。
『恋』の歌詞を、「どうってことない」と語ったのは、LPレコーディングを含めるとたくさん歌ってきた24歳の歌手石川ひとみだからと、割り引いて考えないといけないでしょうね。
そんな経緯を、before & after という形で紹介しましょう。まずはビフォアから...

これは石川ひとみちゃんの詩です。
セシル時代の詩のようですから、「私はひ・と・み」と地続き、という印象です。
「愛を信じて」
天野滋はこの詩を読んで、『ひとりじめ』を書いたのかい?っていう感じですね。
5行目「やさしさ」を、「やましさ」と読み間違えた私は、一瞬「うーん」と考えてしまいましたが、そうではなかった!
「やましさを乗せた春の風がさわぐ」だったら、山崎ハコばりの屈折した心情ということで、行間を読む読み応えもあったのですが、「やさしさ」ですと20歳前の女の子の詩ですんなりと落ち着きます。
メタファーはありません。「陽だまりのような幸せ」という直喩がひとつ。
素直で少女っぽい歌詞ですので、メタファーの必要性がないと言って良いでしょうね。

「ひとつぶの涙」
これはひとみ版「木綿のハンカチーフ」+「あなたの心に」(中山千夏)っていうところかな。
「With -the best of 一五一会」の中にこの曲は収録されています。ひとみ版「あなたの心に」。
宏美版も聞きくらべてみたけど、やはり千夏の歌だな。彼女は才女でしたから、良い詞を書きました。青春ソングとして歌謡史に残る歌です。
幸せな歌というのはどれも似通ってしまうけれども、悲しみの歌は千差万別です。
「かすかに光った私の涙 あなたがぬぐってくれたら」
失恋の歌にしては淡泊な表現ですね。
黛ジュンの「夕月」では、「涙を あーなたに、拭いてもらいーたいー」と情念のこもった歌になっています。
肝心の3番の歌詞が尻切れトンボで、残念。蒼井優の画像と、黛ジュンの歌、どちらも好きです。
そして比較してみたいのが、これですね。

「冬のかもめ」のB面に収録された
「いつわり」です。
これは、ちょっとちょっとですけど...
「愛を知りすぎた二人だから」
ギョッとしそうです。
石川ひとみちゃんの歌ですから...
歌詞はすごくてもリアルな話ではなく、
耳年増な歌詞なのだと思う。
全曲インプレッションで取り上げていますので、ここでは紹介するだけにしておきましょう。

この曲は『恋』のB面に収録された「何も言わないで」です。
岡田富美子さんふうな表現もまじってきました。
星屑で結び合わせた 星座のように
ふたり めぐり逢えたこの恋 忘れはしない
「若書き」の詩ですから、深読みなどしない方がいいですね。
石川ひとみさんの歌詞は、やはり脱力系歌『秘密の森』を通過したものが、自然で素直でいいと思う。
みんなの一五一会収録の
「ラジオデイズ」とか、ね。
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