石川ひとみ【懐かしきリフレイン】(1981.07.21)『まちぶせ』所収
作詞:山上路夫/作曲:浜田金吾/編曲:渡辺茂樹
作詞:山上路夫/作曲:浜田金吾/編曲:渡辺茂樹
山上路夫の歌詞はすがすがしい。この人らしい、歌です。
ほどほどに抑制がきいていて、ほどほどに歌手との距離感を保っていて、大人の風格があります。
この「懐かしきリフレイン」は、当初『まちぶせ』の時にリリースを予定していた曲だとか。
『夢番地一丁目』に引き続いて、山上路夫路線で行こうとした。
けれども、『夢番地』の手応えがいまいちであったため、それよりもインパクトが弱いかなと感じるこの「懐かしきリフレイン」はLP『まちぶせ』の方に回されることになった、と。
『夢番地一丁目』に引き続いて、山上路夫路線で行こうとした。
けれども、『夢番地』の手応えがいまいちであったため、それよりもインパクトが弱いかなと感じるこの「懐かしきリフレイン」はLP『まちぶせ』の方に回されることになった、と。
山上路夫のさわやかな歌詞ただ、その愛すべき特質が、良くも悪くもニュートラルな歌となって結晶する。
山上の良さは「さりげなさ」にあるのだなと思う。
破れている古いポスターが ガード下の壁に 残っていた
さりげない。何がさりげないかといえば、
破れ書けたコンサートのポスターが、いつまでも残っている。これは決してメジャーな歌手のコンサートではないですね。
大手の音楽事務所や大手の映画会社のポスターというのはきちんと管理されていて、次々と新しいものに張り替えられます。コンプライアンス遵守。
そういう既存の管理体制に組み込まれていない、ゲリラ的にガード下に貼られたポスターで、なおかつ「チケットも買えないほどの人気だった」ということがまずスタートです。
グループサウンズの創成期がそうでしたね。ザ・カーナビーツとか、オックスの赤松愛とか...
次々と聴衆の女の子たちが失神する、フィーバーぶりでした。
私が住んでいたすぐ近くにカーナビーツのメンメンが住んでいて、衣装が一着しかなくて、クリーニング屋に行って着ている上着を脱いで渡し、上半身裸で彼らのアパートに帰って行く、という光景を見たことがあります。
それで、夕方に服を取りに行って、それを着てコンサートに出発する。
私も、大江健三郎が言うところの「アンラッキーヤングマン」のようなジャズメンの仲間にポスターを描いて、街頭に貼り付けゲリラをやったものです。
大手の事務所では、まずこんなことはあり得ない。
タイガースではやらないな。ナベプロですから。
私的な印象ですと、コンサートではなく映画のポスターですね。アメリカの学園紛争「いちご白書」
「いちご白書をもう一度」 作詞、作曲:荒井由実、ばんばん
確かに、「いちご白書」の破れかけたポスターをみた記憶があります。
Lovi is gone! などという甘いメロディーではありませんが、今は私のリフレイン、というのは共通しています。
それで、「時は心洗うものでしょうか」以下の歌詞、前回書きましたように、まさに男の感情の生成消滅の理(ことわり)をストレートにさりげない言い回しで表しています。
しっかりと抑制が効いた、実にすがすがしい表現だなと思う。
石川ひとみが歌っているので、女性らしい感情表現のように思えますが、実は男の気持ち(男の中の女性性)を投影した歌なのではないかな。
「あの時の歌を リクエストしたなら、深夜のラジオで あなたは きくでしょうか?」
You are gone. 今はわたしのリフレイン、と終わっていますけれど、女性はその時のことを事細かに覚えていまして、リアルに「あの時、あなたはこうだった!」と、揚げ足をとられたり、忘れていたことを指弾されたりしますね。
けっして、このようにさわやかに終わらせてくれない。
けれども、山上は「あなたは きくでしょうか?」とさりげなく書いているけれども、本当は「今でも好きだよ」と伝えたい、という思いを表現しているのでしょうね。
その辺が、山上路夫の歌詞の食い足りない部分かなとおもう。
良くいえば、演歌にはならない。
悪く言っても、演歌にならない。
You are gone !You are gone !では終わりきれないものを負っている人からすると、食い足りないと感じるかもしれない、な。
甘い感傷に浸れる人には、さわやかな感傷の歌であるに違いない。
言葉よりも、自分の経験の方が重いと感じる歌詞ですと、食い足りないなと感じるのかもしれない。
山上路夫の感性の質がここに現れているように思う。
まあ、しかし歌謡曲ですから、そこまで食いついて批評してはいけないでしょうね。
編曲の渡辺茂樹は、あのワイルドワンズのチャッピーだよね。
ノスタルジックサウンドを上手く醸し出していると思います。
この歌は、LPアルバム『まちぶせ』に収録されていまして、カセットにコピーして、車の運転中にさんざん聴いていましたので、わたし的にも懐かしきリフレイン、になっています。
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