石川ひとみ 「パープルミステリー」

 この曲はNHK「あなたのメロディー」の入選曲で、当時高校生だった作者が、デモテープをサイン会の場でひとみちゃんに贈呈したものだという。

石川ひとみ 『パープルミステリー』 (1983/2/21) 作詞・作曲:川越 進、編曲:松任谷正隆
 楽しみのために書かれた詩や絵などを批評するのは私の本意ではないので、個人的な印象を記するだけにとどめたい。

 色彩に対する好みや印象は人それぞれですが、それらを捨象したところで、たとえば赤は暖かさや情熱を連想させるし、黒は落ち着きや静謐な気分、白は清潔・清純という印象を与える感じがある。

 ファッションなど、日常性の上ではそういった一般的な色彩感覚で成り立っているわけだけれども、詩の言葉はそのような辞書的な意味性を拒否したところから始まるわけで、この歌で詩的表現を論じてもしようがないのだろう。

 それでも、この歌詞に現れている特徴を指摘するならば、若い人が陥るセンチメンタリズムが見られない叙景詩になっている、という点だろう。
 あるいは、その感情性は作者がイメージするパープルやイエローといった色彩に込められているのかもしれないが、作者を離れると同時にそれらのモードはリセットされて、ニュートラルなものとしてしか受け手には伝わってこない。
 
 それはすなわち、歌を聴く人の自由な連想に任されているという点で、現代的な詠み人知らずの歌として成立していると言い換えて良い。これが、NHK「あなたの歌」で入選したという理由もよく分かるのだ。


 メロディーはクライマックスの基本的なフレーズのバリエーションを4つ、続けてからエンディングまでまとめたと。
 そこに持って行く間の展開は、歳には似合わない洒落た大人のメロディーになっていますが、丸山圭子の『どうぞこのまま』(1976年)で感じた「精一杯背伸びをした」感じがやはりあるな。

しかし、松任谷正隆のカリプソ風なアレンジがいいし、石川ひとみが歌っているのですから、無難にまとめたという以上の仕上がりになっているね。

 

 この歌は赤いドレス版と黒いドレス版があるけれども、この黒いストッキング姿は大人の女の雰囲気があります。

 この歌を歌った理由は、ファンサービスという意味もあるけれど、少しもまみれていない大人の女の歌として、イメチェンには都合のいい歌だということがあるのだと思う。

 系統としては「夢番地一丁目」と同じクラスターに属するのだけれど、山上路夫が持っているような人生観や叙情性というものはなく、素朴な自然観で成立している万葉集の叙景詩のような歌だ、と。

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