石川ひとみのプロデュース、トライ&エラー(1)

 歌手石川ひとみの歌の解釈を中心に、ひとみ陣営のプロデュース問題を見てきました。
 次の『まちぶせ』でようやく大ヒットになりましたが、3年間という時間の損失は大きかった思う。
 類い希なアイドル性をもった石川ひとみが、アイドルとして開花することなく成人式を通過して、21歳になっていった。脱アイドルを考えねばいけない、難しい年頃になってしまった、ということです。

 すこし、これまでの歌のドメイン分析をして、概観しておきたい。

 次の図は、マーケティング・リサーチをするための、ドメイン分析の図ですね。

 歌謡曲がヒットするための要素をすべてリストアップして、その要素ごとにドメインに分類していきます。

 基本的な分析チャートを作っておいて、次々と当てはめていきますが、最初に他の大ヒットしている歌について徹底的に分析して、原理原則的なものを見いだして、それを元にプロデュースの戦略を立てていくわけです。

 ひとみ陣営は、経験と勘だけでそういうものを決めていて、社会科学的な思考が欠如していたのではないかという感じがするな。
 総合プロデューサーだったナベシンのカンが狂っていくのに従い、歌手のプロデュースも意味が分からないリリースが目立つようになっていく。

 歌手石川ひとみの場合も、歌とひとみちゃんとの食い違いが目立つよね。

domain_analyze02.gif 上の図は、『まちぶせ』までのシングル曲を、属性で分類したもの。

 シートは、「愛の歌」という要素について、イノセントラブ→→→まみれ系、というスパンを設定して、それに時系列を「少女」から「アダルト」(成熟と自立)というふうに言い換えて、表記しています。

 アダルトといっても、イヤらしい意味はなく、大人という意味で、「時系列である」ということを確認しておきます。

 イノセントの反対語は当然 nocent ですが、こちらの方は一般的ではありませんので、私の言い方で「まみれ系」としました。
 身も蓋もない言い方ですが、男女関係は精神的にも「まみれ合うこと」に他ならないからですね。イメージがはっきりすると思う。

 これは、色恋という要素について、ドメインに分けてみたわけですが、これをメロディーやリズム、そして衣装や化粧、フリ、顔の表情、目つき、声の主音域などと、すべての要素について行い、きっちりとデータとして把握しておかねば、意味のあるマーケティングデータとはなりません。

 けれども、ひとみ陣営の迷走ぶりを示すには、これで十分かなと思う。


 アイドルからスタートして、大人の実力派歌手になっていく標準的なプロセスは図の矢印、つまり(1) の領域から(4) の領域に進んで行くわけです。
 ですから、黄色のゾーンが、一応アイドルの基本路線と考えて良いでしょう。

 このようにして、俯瞰(ふかん=高いところから見る)してみれば、簡単に位置関係が分かります。
 頭の中で、あれこれ考えても、ごちゃごちゃして見えてきませんね。

 『まちぶせ』は、歌い方によって、イメージがかなり違ってきますので、サラリ系純愛路線で歌った『まちぶせ』は、この辺に置いてみました。
 重なり合いを避けて表示するようにしたために、位置が本来の位置からずれているのがありますが、その点はご了承下さい。


 概論だけを述べれば、

 歌手石川ひとみのデビュー曲『右向け右』は、「アイドルを卒業して、まみれかかった大人の歌」から始まった。
 最初から、一般的なアイドルイメージを否定しています。これは、石野真子の「あどけない少女」路線との差別化を意識しすぎた結果でしょうか。


 『くるみ割り人形』は、正反対に、極端に未熟で自立していないイノセントラブの悲哀を歌った。
 これは、アイドル以前、未完のアイドルと位置づけられます。

 この曲は、新人賞取りレースで勝負をかけるために、ビジュアルな面をしっかりと作り込んでいるのがよく分かります。
 曲のアレンジも、必要以上に迫力のある音作りで、勢いを生み出そうとしています。


 その後の推移を見てみると、最初の方(3)『鮮やかな微笑み』 (4)『ひとりぼっちのサーカス』 で『くるみ割り人形』イメージを跡形もなく壊してしまう。


 『まちぶせ』までに、この「大人の女の、まみれ系」領域に属する曲が、5つ。アイドルイメージの(1) の領域が3つ。

 79年と80年は、それぞれ2曲ずつ同系統の曲をリリースしているのですが、『ハート通信』と『ミスファイン』というアイドル系さわやかな曲のイメージを、『オリーブの栞』と、『秋が燃える』で再び、痕跡も残らないほど破壊しています。

 『秋が燃える』は、意味が分かっている大人のファンから見ると、ここに位置づけられますが、裏の意味を考えずリズムにノリノリのファンからすると「何でよ!」ということになるでしょう。


 このような経過で、18歳から20歳まで経過して、20歳(はたち)までの女は自分を殺す、というアイドル適期は過ぎていってしまったのだ。


(ひとみちゃんは小柄で可愛いので、まだまだフリフリドレスでアイドルをやれますが、本人自身が20歳になって、「背伸びした大人にムリになろうとせずに、自分らしさを出した大人の歌を歌いたい」ということを言っていますので、そろそろ脱皮の時期にさしかかっているのかもしれません。)

 石川ひとみのプロデュース、トライ&エラー(2) に続く

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