石川ひとみ 「あなたの心に」 一五一会版

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 石川ひとみさんが歌う「あなたの心に」
 以前に中山千夏の動画を引用していますので、ひとみ版も載せておかないと。
 若々しい歌ですから、やはり20才前後に歌っていると、いいのかもしれません。
 今回は大輪茂男プロデューサーの名誉回復のためにと、断りをして進めてゆきたい。

 最近になって、大輪茂雄さんが何を考えていたのか、ふと分かるような気がしたからだ。彼が、デビュー当時の石川ひとみについて感じたものは「もっと影を」だったのではないかな。
 明るく素直すぎて、そのまま大人の歌手になったら大人の女としての広がりと深みを追求することは難しくなる、という危惧を抱いていたのかもしれない。

 久しぶりに何か曲を載せようと、今日は夕方からLP曲や一五一会曲を次々と試聴していたのですけれど、なかなか決まらない。歌詞も曲も良いというのはなかなかないものですけれど、どうもそればかりではないのだね。

 それで、一五一会曲をずっとチェックしていて、フォークソング編あたりから選曲しようと...
 神田川、悲しくてやりきれない、真夜中のギターとか、逡巡して「あなたの心に」を選んだけれど、大人の女の歌ではない。そういうたぐいの歌がないのだねェー。

 以前から、石川ひとみさんに大人の恋愛歌を歌って欲しいなと願っていましたけれど、悪い女にならないとそういう歌詞は書けないですから、今の石川ひとみさんには無理っぽいかなと思う。

 たとえが飛躍してしまうのだけど、立木義浩(たつき よしひろ)と篠山紀信の違い、みたいなものを感じるわけです。
 立木はきれいな女性写真専門で、篠山のような毒がないとよく比較されたものです。
 篠山紀信はヘアーヌードを当局に認めさせた功労者ですし、今回の騒動も確信犯的にやっていて、健在だなと。

 仲の良い夫婦としてファミリー向けの曲を出したり、肝炎に関する講演を精力的に行っている石川ひとみさん、年相応にまみれた愛の歌詞を書くことははばかられることかもしれない。

 大輪茂雄はそういうものを将来的に危惧していたのではないだろうか。
 彼が意図していたものは、決して間違ってはいなかったと思うけれど、デビュー早々18才のひとみちゃんにやらせるのは時期尚早だった、ということだね。

 吉永小百合は「キューポラのある街」のような、清純な汚れ役で一皮むけて女優としての地位を確立したけれど、石川ひとみは汚れ役の汚れを(蓮の花のように)はじいてしまう人ですから...。
 困ったよい子だ、と形容するゆえんです。

 まあ、石川ひとみさんはまっすぐに生きてきた人ですから、地のままで文句のつけようがないのですけれど、私もまた大輪と同じような要らぬ心配をしてしまうな。
 つまり、清く正しく、正論ばかり吐くおばさんには似て欲しくはないな、と。まったく余計なお世話ですけど。


 以下は蛇足です。

 最近、女性の恋愛歌ばかりを集めた- 自歌自注 -『相聞』(短歌新聞社)という本を読んでいて、作品の出来不出来は別にして、大人の女の心情が垣間見ることができて、なるほどねと感じるところがありました。

 勝手に引用するのははばかられるところですが、部分的に引用させていただきたい。

   逆光に天秤のような君の肩わが寂しさにかたむきて来よ

 <ひとは全て1人の人間として孤独である。愛は人の原初的な生の孤独を越えることができるだろうか>

   掌をとれば掌のあたたかさありながら とらへ方なき君と思へり

 <みずみずしい恋を続けるには、たとえどんなに愛し合っていても一緒には暮らすまいというのが私の悲痛な覚悟である。真の孤独を知り、偽りのないその儘の姿を投げかける人に惹かれる。だから私は私に優しくして呉れる人を信じない...>


  さざなみの光るが如く微笑する彼をみつめて一夜短し

 <一年中一緒に暮らす人よりも、「一夜短し」の仲の方が、さざ波が美しく広がり、...>



 「悪い女だと ひとは言うけれど イイじゃないの 自分がよけりゃ(元歌は「幸せならば」)」という感じだね。

 こういうものを読んだ後で、若々しい歌を聴くと、何とも微妙だね。

 
 何とも言えませんので、和歌続きで、西行の歌などを、

 あくがるゝ心はさても山櫻ちりなん後やみにかへるべき

「山桜を愛で、心が体から抜け出すのを留めることはできないけれども、その花が散った後は、我が身に還ってくるものよ」

 特段、深い意味はありません。男はみんな、こうなのさ、とでも。


 追記
 和歌は直叙を旨とする表現形式なので、両刃の剣のように自他を傷つけるごとき厳しさがある。
 西行の歌は西行の歌ですので、短歌的叙情には全く縁がないのだけれども、やはり自分の言葉で述べておくべきかと思う。

 あくがるゝこころ捨ておけ山桜春霞の夜にたよる由なく

 自注:ファンの戯言(たわごと)など捨ておくがよい。春の霞のように移ろいやすく頼りない人気や評判などは、春の夜にざわめく男どもの気迷いほどにも寄る辺ないものにすぎないのだから。

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