ピンクフロイド [Delicate Sound Of Thunder] に収録されている曲です。
One Of These Days の邦題は「吹けよ風、呼べよ嵐」となっていますが、直訳すると、「そのうちいつか」くらいの意味でしょうか。アブドラザ・ブッチャーのテーマ曲に使われたようですが、あの傷だらけの額(ひたい)を見ると、ウーンとうなってしまいますね。
曲中に出てくる「「One of these days, I'm going to cut you into pieces!」からとったものです。
「いつかお前を切り刻んでやる!」という台詞、私には印象深い記憶があります。
妻が子どもの頃、母親に口答えとかすると母君は、「産まなければ良かった。おまえを切り刻んで、胎内に戻してしまいたい」 と、妙にリアルな小言を言ったそうです。
「産み直したい...」という感じでしょうか?
「血を分けた母子」といいますが、母親からすると「体を分けた子ども」という感覚があるのかもしれませんね。男の私からすると、「肉を分けた親子」というリアルなイメージに圧倒されます。
男には決して分からない女性感覚です。
それで、この「One of these days」ですけれども、わたし的には聴診器で聞く胎児の心音のイメージです。実際にそれを聞いたことのある人なら、ある程度ご了解いただけるかと思います。
初めてこの曲を聴いたのは、新宿のジャズ喫茶だったと記憶しています。
ジャズ喫茶でロックというのも変ですが、ジャズよりもロックファンが増えてきて、営業上ロックの曲も扱うようになったのかと思います。ビートルズ以降、ロックファンが急増しましたから。
そのビートルズのポールが「打ちのめされた」と評したピンクフロイドの音作り、このベースの音は潜在意識に訴えかけるものを感じます。
ご存じない方は、まず、一度聞いてみて下さい。
私は、ジャズ喫茶の巨大なむき出しスピーカーに半ば頭を差し入れるような感じで、ぼんやりと居眠りをしていました。ビールを飲みながら聞いているうちに、眠くなってきたのですね。
そしたら、この曲がかかって、なんか悪い夢を見そうな感覚に襲われました。音が大きかったせいかもしれません。すっかり目が覚めて、何か落ち着かない感じがしました。
人間が持つ原始的な本能というか、無意識あるいは深層心理を揺さぶられる感じがします。
たとえていうなら、ピューマのような猛獣が獲物にそっと近づいて息を殺して、身を隠している時の心臓の鼓動ですね。
アドレナリンが出て心臓の鼓動が早鐘のように感じられる...男性なら狩猟本能が強いので、そういう戦闘直前の深層心理的な印象、女性であれば何か怖いものが近付いてくる感覚。
大音量のロック調ではなく、環境音楽調であれば胎児の心音に聞こえるでしょう。
いずれにしても、人がもっている無意識の部分に響いてくるように思えます。
ピンクフロイドのメンバーは、
「建築学校出身のロジャー・ウォーターズとニック・メイスン」→コンセプト志向(アーキテクチャー志向)
vs
「音楽家のデヴィッド・ギルモアとリチャード・ライト」→サウンド志向
...の対立が傑作を生み出していたという。
私はアーキテクチャーがしっかりした音楽が好きですけれど、フリージャズをやっている仲間がいる影響か感覚的・即興的音楽も時にはいいなと思います。
インド音楽は大変高度なアーキテクチャーとコンセプトを基本にして、感覚的・即興演奏の部分をもっており、個人的な感覚に合うわけですね。
コメントする