「パープルミステリー」意味不明な歌詞の意味

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石川ひとみ 『パープルミステリー』 (1983.02.21)
作詞・作曲:川越進、編曲:松任谷正隆

 この歌の歌詞で意味が分かるのは、「あの人の心が 知りたくて、一人でここに来たけれど」の部分だけです。

 この曲は歌詞にはとりたてて意味があるのではなく、リリースすることに重要な意味があるのでしょう。

 『パープルミステリー』は「大人の女」の雰囲気を演出していますが、少しもまみれていない。
 「洒落た大人の女」を演出しようと しているからでしょうね。

 「あの人の心が 知りたくて、一人でここ(海辺)に来たけれど」というように、その行動は大人の女とも思えない。作詞者の「男の幻想」を描いているのでしょう。

 大人の女であれば、気持ちが分からない「あの人」と、しっかりコミュニケーションを図ろうとするはずです。あの人から遠ざかって海にやってくるという、観念的な男のやりそうなことを、女はやらないでしょうね。女性の場合、相手の男のところに出かけていって、(たとえ仕事中であろうともわきまえず)問いただす、という方向性に進むことが多いものです。

 男のように観念的なロマンチストではなく、女性は現実的リアリストなのです。抽象的な思考を好まない。
 海辺に来て考えたところで、何も解決にはならないと考えるのが女性(おんなせい)のあり方ですね。

 ホワイト・ミステリーやイエロー・ミステリーなどが、表象する意味はほとんど私には理解しかねます。
 シュールなイメージも喚起されません。作詞者自身は自分だけのイメージはあるかと思いますが、他の人にも同じように伝わるということは考えられないと思う。

 由紀さおりの『夜明けのスキャット』では、Ru というのは、スキャットの基本であってハミングの意味、Pa Pa Pa PaーPa というPa の音は、夜明けのパーッと明るくなっていくさまを意味しているそうです。

 パープルミステリーは、Pa だけのスキャットのイメージほどの意味性も感じない、というある種不思議な歌だなと思います。

 カリプソ風なメロディーの曲が先に出来て、あとから作曲家自ら歌詞をつけたのでしょうか?

 (追記:この曲はNHK「あなたのメロディー」から生まれた曲で、男子高校生が作ったものだとのことです。納得。)


  まあ、ほとんど意味のとれない歌詞でも曲が付いていれば歌になるし、ひとみちゃんの歌唱力が優れているので、どの曲もそれなりに良い曲になるということがよく 分かります。この歌を好きな曲のひとつにあげるファンもいますから。雰囲気がいい曲ですので、歌詞の意味は詮索不要です。

 ニューミュージックの美人歌手といわれた丸山圭子の『どうぞこのまま』(1976年)が、リアリティー希薄な歌と酷評されたのを思い出してしまいました。ファンは多かったですね。私も好きな歌でした。

 後年、丸山圭子が「大人ぶりたくて、精一杯背伸びしすぎた歌」と振り返っています。
 改めて聴いてみると、やはりボサノヴァ風なアレンジが気に入っていたようで、サウンドが良ければ何を歌っているか分からない外国曲でも好きになるのと同じかな、という気がします。

  丸山圭子はひとみちゃんの『三枚の写真』B面の『夕暮れて』の作詞・作曲をしていますね。


 石川ひとみの歌をずっと取り上げてきて、プロデュースとポロモーションという二つのPの問題点を見てきたのですが、2つほど気づいたものがあります。

 一つは、フックとなるべき「印象的なつかみのフレーズ」が少ないな、ということです。
 この『パープルミステリー』は、全体が意味不明ですから、全くないわけですけれども、他の曲でもあまり思い浮かびません。

 リストアップ出来るのは、

・くっるーみ割りー お人形オー
・さあ止まれ、止まれ 目頭から1センチー
・ごめんねと行って帰った、ごめんねってあなたー
・嘘は罪じゃない
・まだよ、まだよ、まだよ 行かないで
・夢番地一丁目
・もうすぐ 私 きっと あなたを振り向かせる

 結構あるじゃないかと思うかもしれませんが、伊藤咲子の曲と比較してみましょう。

・もっと強く 抱きしめてよ 奪われないように... 『木枯らしの二人』
つらいだけの初恋 乙女のワルツ... 『乙女のワルツ』
・誰のために咲いたの(咲子) それはあなたのためよ ...『ひまわり娘』
きみ可愛いね ...『きみ可愛いね』
・もしも迎えてくれたなら、私はきっと泣くでしょう
  こころの張りがなくなって、そのまま倒れてしまうでしょう ...『冬の星』

 伊藤咲子の歌はほとんど知らない私ですが、何も見ずにすらすらと出てきました。
 ひとみちゃんの歌はさんざん聴いているのに、一覧表を見ながら歌を思い出して、書いている。

 山崎ハコなら、「こころだけ愛して こころだけ愛して あなたに それが 出来ますか?」 なんて、インパクトが強いです。


 そのような印象度が違うな、と感じます。

 石川ひとみの歌の中で、私がグッとくるのは、何を隠そう歌詞をけなした『ひとりぼっちのサーカス』の、「帰った」というフレーズです。

 しかし、これは石川ひとみの歌い方というか声がものすごく素晴らしいので、魅了されるのですが、谷山浩子歌では、さほどの印象は残りません。フレーズとしても、「帰った」の一言ですから。

 言葉のインパクト、意味性(指示表出性)、感情要素(自己表出性)などが、強い引力を以て私たちの心を引きつけ、印象に残り、つい口ずさんでしまう、という要素が若干不足しているかな。

 このような印象を持つのは、私が言葉の表現者であり、アーキテクチャーやコンセプト重視するタイプだから、という面があります。

 『ていすとオブFavorite』というブログで、ピンクフロイドのメンバー対立の記事を参照して下さい。

 一番下の方にあります。


 石川ひとみの歌のうまさが、その辺の弱点をカバーして余りあるから、良い曲だと感じるという事があるのではないか?

 もっとも、サウンド派(ヘッドフォンをつけたサル?)が圧倒的に多くなった現代では、歌詞などあってなきがごとしという状況ですから、YouTube を見ているファンは私の述べていることを理解しない人が多いと思います。

 そういう、歌詞に意味性が乏しく、音作りに主眼が置かれた代表的な歌が、この『パープルミステリー』なのだ、と言ってよいでしょう。

 この曲をリリースする意味があるのは、石川ひとみちゃんが大人の歌を歌うためのイメチェン歌という一点にあるのではないでしょうか。どうも、イメチェン歌と思える曲が多いですね。


 赤いドレス版では、曲のイメージとひとみちゃんの大人になりきれていない表情が不釣り合いですね。




 それが、黒いドレス版では、ばっちり決めています。

 俗っぽい言い方ですが、「いい女」に変身している。ビジュアル的には、すごくイイです。
 前回指摘した、ピンク系のアイシャドウーも違和感なく決まっています、悔しいけど、ね。

 [1:15]あたりで、上から見下ろされているような感じ(カメラが下の方から上向きに撮っている)...

 ...おもわず、「ひとみ女王様!」と叫びたくなるナ。(って、SMごっこじゃネー、つうの)

 深キョンのドロンジョ様もいいけど、ひとみ女王様も、いいねェー。そう思って、鑑賞すると、楽しめる。


 余計なことですが、purpru あるいはパープルと発音しているのが、気になる。
 正しく、purple と言ってほしいかなァ。曲名ですから。

 まあ、太陽の女王も I wiru forrow you. と発音していますから、構わないのかもしれませんが。
 英語耳のわたし的には、I will follow と発音して欲しいです。

 rice(米)と lice(シラミ)の区別ができない Japalish どうも気になるけど、気にならない人が大多数なので、まあ、いーか...。

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